日本刑事政策研究会
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論文の募集
令和6年度
刑事政策に関する懸賞論文応募要領等
一般財団法人日本刑事政策研究会
読         売         新         聞         社
(後        援)        法         務         省
1 懸賞論文募集の趣旨
 これまで、一般財団法人日本刑事政策研究会は、刑事政策に関しての優れた研究に対する「刑事政策研究会賞」の授与、会報誌「罪と罰」(季刊)の発刊等を通じ、また、読売新聞社は、法務省主催の「社会を明るくする運動」の後援等により、それぞれ「犯罪の防止と罪を犯した人たちの更生を実現する」ことを目的とする活動を行ってきました。
 住み良い社会を作り上げるためには、このような刑事政策思想の普及が特に重要であるとの観点から、この度、我が国の将来を担う大学又は大学院の学生を対象として、刑事政策に関する論文の募集を共催し、優れた論文に対して賞状及び賞金を贈呈することといたしました。
 奮って応募してください。
2 論文の題目等
「社会復帰支援における地域の役割と在り方について」
 刑務所出所者等の再犯防止は、我が国の刑事政策における現下の最重要課題であり、この再犯防止の推進に当たり、犯罪をした者や非行のある少年(以下「犯罪をした者等」という。)に対する社会復帰支援の充実は不可欠である。
 再犯の状況に関し、今日の我が国の犯罪情勢を見ると、刑法犯で検挙された人員に占める再犯者の人員の比率(再犯者率)は、平成9年以降、上昇傾向にあり、令和4年では47.9%と、刑法犯検挙者の約半数は再犯者という状況にある。また、出所受刑者全体の2年以内再入率は、低下傾向にあり、令和3年の出所受刑者については、過去20年で最も高かった平成17年の3分の2を下回る水準となっているものの、満期釈放等による出所受刑者の再入率 は、仮釈放による出所受刑者よりも相当に高い状態で推移しているなど、再犯防止対策の更なる充実強化が求められる情勢が続いている。
 政府としては、「再犯の防止等の推進に関する法律」(平成28年法律第104号)を受け、平成29年12月に再犯防止推進計画を閣議決定し、同計画や令和元年12月に犯罪対策閣僚会議で決定された「再犯防止推進計画加速化プラン」に基づき、地方公共団体や民間協力者等の理解・協力も得ながら、社会復帰支援等の各種再犯防止施策に取り組んできたところ、令和5年3月には第二次再犯防止推進計画が閣議決定され、同計画では、社会復帰支援に関連し、第一次の再犯防止推進計画に引き続き「就労・住居の確保」、「保健医療・福祉サービスの利用の促進」、「民間協力者の活動の促進」、「地域による包摂の推進」等の7つの重点分野に96の具体的施策が盛り込まれた。
 これらの重点分野のうち、「地域による包摂の推進」については、犯罪をした者等が地域社会の中で孤立することなく、自立した社会の構成員として安定した生活を送るため、刑事司法手続段階から刑事司法手続終了後の段階に至るまで、国、地方公共団体、地域の保健医療・福祉関係機関、民間協力者等がそれぞれの役割を果たしつつ、相互に連携して支援することで、犯罪をした者等が地域のセーフティネットの中に包摂され、地域社会に立ち戻っていくことができる環境を整備することが重要である。
 一方で、「地域による包摂の推進」については、課題も指摘されており、再犯防止分野において国と地方公共団体が担うべき具体的役割が必ずしも明確とは言い難い面があり、地方公共団体において、再犯の防止等に関する理解や施策の実施状況等に依然として地域差が認められる場合があることなどから、地域社会における国・地方公共団体・民間協力者等による支援連携体制を更に強化していく必要がある。また、多くの人々にとって、再犯の防止等に係る施策は身近なものではなく、更生の意欲を有する犯罪をした者等が、責任ある社会の構成員として受け入れられるよう、広く人々の関心と理解を得ていくことも大きな課題である。犯罪をした者等に対する社会復帰支援において、これを受け入れる側である地域社会の協力は不可欠であるが、他方で、支援対象者を受け入れる地域に対して、どのようにして理解と協力を求めるかといった課題は、今なお存在しているといえよう。
 以上を踏まえ、刑事司法手続段階から刑事司法手続終了後の段階に至るまでの、犯罪をした者等に対する社会復帰支援における地域の役割と在り方について、幅広い視野に立ち、自由な発想で論じていただきたい。役割については、犯罪をした者等に対する社会復帰支援の中での地域の位置づけを、在り方については、具体的な社会復帰支援策やそれを実施するための方策等を、それぞれ論じていただきたい。なお、字数の制限もあるので、総花的な評論ではなく、具体的な施策として実現可能性のある提案の形で、少数のポイントに絞って論じていただきたい。
3 応募要領
(1)
応募資格
大学又は大学院に在学する学生に限ります。
(2)
論文作成上の注意事項及び分量
 パソコン・ワープロで作成する場合は、A4判用紙(特定の大学、機関名等の入ったものは不可)を使用し、横書き、1ページ・34字×32行、活字約12ポイント、字数4,000字以上6,400字以内とし、枚数は4ページ以上6ページ以内とします。
 手書きする場合は、市販のA4判横書き用400字詰め原稿用紙を 使用し、黒又は青インクの万年筆又はボールペンを使用して記載してください。鉛筆書きは無効とします。枚数は、同稿用紙10枚以上16枚以内とします。
 なお、統計表・グラフ等を用いる場合は、パソコン・ワープロ・手書きとも指定枚数内に収まるようにしてください。
 論文を記述した用紙には、氏名、大学名、担当教授名その他予断を生ずるような事項を記入しないでください(氏名等は、(3)のとおり、別紙に記載していただくことになっております。
 募集しているのは試験の答案ではなく学術論文ですから、著作権法(特に第32条)にも留意しつつ、既に発表されている情報・意見等については、それに言及する際、その都度適切な出典を注記し、また、判例・統計・グラフ等を引用するときにも、その都度資料源を明記して、一読しただけでどの部分が他者から得た情報でどの部分が独自の調査・収集に係る未発表の情報や主張であるかが判然とするようにしてください。
 このような学術論文作成上のマナーを無視し、多くの文献に依拠しながら単に論文の末尾に引用文献を列挙するにとどまるようなものは、審査対象外とします。
 ChatGTP等の生成AIにより、論文を作成することは認められません。
(3)
論文提出に当たっての留意事項
論文の提出に当たっては、論文の本文とは別に、次の書面を作成し、これを論文の本文に添付してください。
 別紙として、論文作成者の氏名(振り仮名を付ける。)、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、大学名、学部及び学年を記載した書面
 論文の要旨を字数800字以内にまとめた書面
(4)
論文提出は、1名一論文に限ります。
(5)
提出期限  令和6年8月30日(金) 必着厳守
(6)
論文の提出先
〒279-0013
千葉県浦安市日の出2丁目1番16号
法務省浦安総合センター内
一般財団法人 日本刑事政策研究会 懸賞論文受付係
電話 047-304-5571
なお、封筒表面に「懸賞論文」と朱記してください。
4 賞及び賞金
優れた論文には、次の各賞に応じ、それぞれ賞金や賞品が贈呈されます。
(1)
優秀賞(2名以内)
各賞金10万円
及び
読売新聞社賞      各賞品
(2)
佳 作(5名以内)
各賞金5万円
5 論文の審査
(1)
審査委員
元福岡高等裁判所長官池田     修 先生
早稲田大学法学学術院教授小西   暁和 先生
弁護士・元法政大学大学院法務研究科教授安東 美和子 先生
読売新聞グループ本社社長室総務原口   隆則 先生
法務総合研究所長瀬戸     毅 先生
(2)
審査の最終決定は、令和6年11月下旬ころの予定です。
ただし、審査過程に関する問合せには応じません。
なお、応募論文は、返却いたしません。
6 受賞者の発表等
(1)
受賞者の発表は、一般財団法人日本刑事政策研究会の発刊する前記「罪と罰」誌上及び読売新聞紙上において行います。
(2)
優秀賞の論文は、「罪と罰」誌に全文掲載するほか、内容のいかんによっては、読売新聞紙に掲載されることもあります。
なお、受賞論文の著作権は、一般財団法人日本刑事政策研究会に帰属することとします。